来たる戌年を楽しいものにしてくれそうな一冊『ゆる犬図鑑』

2017年11月24日

こんにちは。スタッフ押川であります。

お得意さまから頂いたご注文によりその本のことを知り、それを自分も読みたくなってついつい買ってしまう・・・そういうことがわたしにはしばしばございます。『ゆる犬図鑑』(フェネラ・スミス&マクラウド兄弟著、梶山あゆみ訳、飛鳥新社)も、その一冊です。

誰もがよく知る犬種から知る人ぞ知る犬種、さらにはキツネなどの「野生の犬」まで、148種の犬たちをイラストと短文で紹介する一冊です。
独特のデフォルメによる線画で描かれた一種一種のイラストが実に愛嬌たっぷりで、見ていると顔がほころんでくるような気分になってきます。

たとえば、おなじみダックスフント。「この犬をドアの下に置くと、すきま風が絶妙に防げる」という文章に添えられたイラストには、ドアの前で腹ばいになっている、ちょっと困り顔したダックスの姿が。また、優美な長い毛が特徴であるアフガン・ハウンドは、頭にいっぱいカーラーを巻いた姿で描かれていたり、フランスではサーカスにも出演させていたというプードルは玉投げの曲芸をしている姿だったり。どちらかといえば犬よりも猫派、というわたしではありますが、本書で描かれる犬たちの愛らしい姿には和みまくりでした。
日本を代表する犬種である、秋田犬と柴犬も登場しています。正直なところ、この2種のイラストは似ているとは言いがたいのですが(笑)、それはそれで可愛らしくていい感じなのであります。

イラストに添えられた短い文章には、それぞれの犬種の持つ特徴が簡潔に記されるとともに、その特徴にひっかけた気の利いたジョークが織り込まれていて、これがまた読んでいてニンマリとさせられるのです。
古代エジプトの墓にも彫刻として描かれているファラオ・ハウンドの紹介文には、「象形文字がすらすら読める特技を活かして、忘れられた言葉を学校で教えている」とあり、イラストには指示棒片手に象形文字を教えているファラオ先生の姿が。また、フランス生まれでチョウを思わせるふさふさ耳がチャームポイントのパピヨンを紹介した文章には「晴れた日には、パピヨンがエッフェル塔のまわりを飛びまわっているのが見える」と書かれていたりします。それぞれの犬たちの個性や特徴がジョークによって一層引き立つ形になっていて、まことに上手いなあと感心しきりでした。
さらに、本書には犬の仲間ではないヤツも2種、紛れ込んでいたりします。そのうちの1つである猫のセリフもまた、実に愉快なのであります。

可愛らしくてニンマリ笑える絵本としても楽しめる本書ですが、いろいろな情報がしっかり盛り込まれているのもありがたいところです。
ドーベルマンはもともと、ドイツの税金徴収官が税金を滞納されないようにしたいと考えてつくりだした品種であったということや、ポメラニアンはかつては北極地方でソリを引いていた大型犬で、品種改良により今のような小型の愛玩犬になったということを、本書で初めて知ることができました。図鑑としてもなかなか、役に立つ一冊です。
なにより、犬にはこれほど多くの種類があって、それぞれが実に個性的で愛すべき存在なのだ、ということがよくわかったのは、大きな収穫でありました。

そうそう。ちょっと早いのですが、来たる2018年は戌年。犬好きの方はもちろん、わたしのような猫派の方も、特にどちら派でもないという方も、本書で楽しい戌年をお過ごしになってみてはいかがでしょうか。

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子ども以上にオトナがハマる?ふしぎ探究雑誌『月刊たくさんのふしぎ』

2017年11月17日

こんにちは。スタッフ押川であります。

『こどものとも』シリーズや『かがくのとも』など、福音館書店が発行している月刊絵本雑誌の中でも、とりわけ異彩を放つ存在といえそうなのが『月刊たくさんのふしぎ』でしょう。
「自然や環境、人間の生活・歴史・文化から、数学・哲学まで。あらゆるふしぎを小学生向きにお届けする科学雑誌」(版元サイトの紹介文より)という触れ込みの『たくさんのふしぎ』。小学生向きと謳ってはいるものの、しばしば「これは子ども以上にオトナのほうが面白く思えるんじゃね?」というようなテーマを扱ったりしていて、なかなか油断がならないのです。
今月発売された12月号「昭和十年の女の子 大阪のまちで」(牧野夏子・文、鴨居杏・絵)もまた、子ども以上にオトナが楽しめそうな内容の一冊であります。

大阪の小学4年の女の子・モモちゃんが、ひいおばあちゃんのスミ子さんから古いアルバムを見せてもらいます。モモちゃんと同じ10歳だった頃のスミ子さんとその家族を写した写真は、どれも白黒。でも、スミ子さんが語る昭和十年の大阪のまちには、華やかな色が溢れていたのです・・・。
本作「昭和十年の女の子」は、スミ子さんの思い出ばなしという形を借りながら、昭和初期に大阪で花開いていた華やかな戦前のモダン都市文化を、当時を物語る豊富な写真とともに再現していきます。

大阪で地下鉄が初めて開通したのが昭和8年。梅田と心斎橋を5分で結んだという「高速地下鉄」のことが、今も保存されている当時の車両や、絵はがきなどの写真で紹介されています。景品としてつくられたという紙製のメリーゴーラウンドは、地上の街と地下鉄、さらには空を飛ぶ飛行機が立体的に表現されていて、なかなか楽しそうです。
その地下鉄の駅から地下通路で繋がっていたのが、心斎橋の大丸デパート。大丸が出していたおもちゃの新聞広告や、年末年始用の品物や催し物を列挙した商品カタログからは、生活を楽しむことを覚えはじめたのであろう、当時の人びとのウキウキ感が伝わってくるかのようです。

昭和初期の子どもたちを楽しませた娯楽の筆頭だったのが、映画。本作には、当時人気子役だったシャーリー・テンプルの主演作や、「ポパイ」や「ベティ・ブープ」といったアニメ映画(いや、ここはやはり「漫画映画」と呼んでおきましょう)、さらには特撮怪獣映画の古典『キング・コング』といった作品の広告が載せられています。
雑誌文化も花盛りでした。女の子向けの『少女の友』に付いていた、ケース入り栞セットや花のカードゲームは、カラー印刷がまことに美しくて惹かれるものがありました。また、小学館の学習雑誌『小学◯年生』も、すでにこの時代には出ておりました。

そして、子どもたちの舌を満足させていたお菓子の数々。そこには、「明治ミルクチョコレート」や「グリコ」「森永ミルクキャラメル」、そして鹿児島生まれの「ボンタンアメ」といった、現在でもおなじみのお菓子がいろいろと見受けられて、その息の長さにしみじみ感慨を覚えます。
豊富に織り込まれた資料写真の数々もさることながら、鴨居杏さんによる淡い色彩の絵もまた、昭和初期の雰囲気に良く合っていていい感じでありました。

モダン都市文化といえば、東京の銀座あたりがすぐに思い浮かぶのですが、大阪にも実に豊かで華やかな都市文化がしっかりと存在していたということを、本作で知ることができました。
それから数年後には戦争の時代となり、華やかなモダン都市文化も「ぜいたくは敵だ」や「欲しがりません勝つまでは」といったスローガンとともに影を潜め、途切れてしまうこととなります。そう考えると、豊かで華やかな都市文化を楽しむことができる、平和な時代のありがたさも、本作を読んで感じることができました。

子どものみならず、オトナの好奇心もそそってくれる『月刊たくさんのふしぎ』。まだ読んだことがないという皆さま、ぜひ一度、お手にとってみてくださいませ。

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NHK『100分de名著』で、わが座右の書『人生論』(バートランド・ラッセル)が取り上げられます!

2017年11月06日

こんにちは。スタッフ押川であります。

NHK・Eテレで放送されている、文学や哲学・思想などの古典をわかりやすく解説する番組『100分de名著』。今月はイギリスの数学者・思想家であり、アインシュタインとともに平和運動にも取り組んだバートランド・ラッセルの『幸福論』(安藤貞雄訳、岩波文庫)を取り上げるんだそうです。

実はこの本、わたしにとっては座右の書といってもいいくらい、お気に入りの一冊なのです。番組で取り上げられるということで、いまあらためて読み返しているところです。

「幸福論」と銘打った書物はいろいろとあるのですが、いささか説教くささのある宗教的なものや、もってまわったもの言いの哲学的・文学的なものが多かったりいたします(むろん、それらの中からも有益な知恵を汲み取ることはできるのですが)。それに対してラッセルの『幸福論』は、あくまでも「合理的・実用主義的(プラグマティック)な幸福論」(巻末の訳者による解説より)であるというところに、わたしは強く惹かれます。
合理的かつ実用主義的であるがゆえに、本書の語り口は実に明快で具体的。現代の日本に生きるわれわれも、ここから多くのヒントや知恵を得ることができるに違いないでしょう。

競争、疲れ、ねたみ、被害妄想、世評に対するおびえ・・・。現代人を悩ませ、わたし自身の心もしばしば苛んでいる、これら不幸の原因についての分析を読んでいると、原書が1930年に刊行されたものとは思えなくなってきます。
ねたみの結果期待される「公平」とは「不運な人たちの快楽を増すよりも、幸運な人たちの快楽を減らすことを旨としている」、ひいては「公的生活をも破壊するものである」と述べられているところ。また、「重大な問題でもささいな問題でも、他人の意見が尊重されすぎている」ことにより「自ら進んで不必要な暴力に屈」して「あらゆる形で幸福をじゃまされることになる」という記述。いずれも、今の日本の少なからぬ人びとが抱えている状況と重ならないでしょうか。

本書の後半で、ラッセルが幸福獲得の条件として強く説いているのが、「自分の殻に閉じこもらずに、外の世界に関心と興味を向けること」です。
「幸福な人とは、客観的な生き方をし、自由な愛情と広い興味を持っている人である」と定義するラッセルは、幅広い事柄へ関心と興味を向けることの効用を、随所で熱っぽく語っています。そのことばには大いに共感し、かつ励まされるところが多々あります。
中でもわたしが強く共感することばは、以下の2つです。

「人間、関心を寄せるものが多いほど、ますます幸福になれるチャンスが多くなり、また、ますます運命に左右されることが少なくなる。かりに、一つを失っても、もう一つに頼ることができるからである。」

「幸福の秘訣は、こういうことだ。あなたの興味をできるかぎり幅広くせよ。そして、あなたの興味を惹く人や物に対する反応を敵意あるものではなく、できるかぎり友好的なものにせよ。」

人生への熱意を取り戻し、もっとしなやか、かつ楽しく有意義に生きていくためにも役立ってくれそうな、ラッセル流の幸福への処方箋。ぜひとも、多くの人に読まれてほしいと願います。そしてわたし自身も、思考と視野が狭くなっているようなときには本書に立ち返り、精神の糧としていきたいとも思います。
『幸福論』を取り上げる『100分de名著』の放送は、きょう11月6日からです。どのような切り口で紹介されるのか、楽しみに観てみることにしたいと思います。

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宮崎日日新聞さま、取り上げていただき本当にありがとうございます!

2017年11月02日

こんにちは。スタッフ押川であります。今回はまことに手前味噌な内容で恐縮なのですが・・・。

10月29日付の宮崎日日新聞「日曜論説」欄が、当店とその取り組みのことを取り上げてくださったのです!そしてその冒頭部分で、熊本地震の影響で休業を余儀なくされていた熊本市内の書店「金龍堂まるぶん店」さんについて綴った、昨年9月29日の当スタッフブログの記事についても触れてくださっていたのです!

・・・ですが、実にうかつなことというか申し訳ないことに、わたしは掲載当日、この論説記事をすっかり見逃しておりました(読書面はチェックしていたんだけどなあ。大汗)。翌日の朝、社長や同僚から記事のコピーを見せられて、わたしはようやくこのことを知るに至ったのでありました。ああお恥ずかしい・・・。

「本屋のある町」と題されたこの論説は、地震のあと地域の方々から再開を強く望まれていた、熊本の「まるぶん店」さんの話題から、文化的な潤いで人々をつなぐ「町のオアシス」としての書店の役割について言及します。
そして、絵本の普及や保育環境の充実といった当店の取り組みを紹介してくださった上で、「図書館とは役割の異なる書店の新たな試みを見守りたい」と述べておられます。
とても嬉しく、また書店に勤める人間の端くれとして身の引き締まる思いが湧いてくる論説でした。

ですが、わたしが何よりも嬉しく思ったのは、熊本の「金龍堂まるぶん店」さんのことを、宮崎の皆さまに広く知っていただく機会をつくってくださったことでした。
地震の影響で休業を余儀なくされる中、これほどまでに多くの方々から愛され、再開を強く望まれていた本屋さんがあるということを、一人でも多くの皆さまに伝えたい・・・という思いで、わたしはあのブログ記事を書きました。
それを受け止めていただき、さらに多くの皆さまに「まるぶん店」さんのことを知っていただく機会をつくっていただいたことが、わたしには何よりも嬉しいのです。
論説をお書きになった宮崎日日新聞論説副委員長・西山昌彦さんには、感謝してもしきれないくらいです。本当にありがとうございます!

そうそう。これはぜひ、あらためて申し上げておかなければ。
多くの方々からの熱烈な後押しもあって、「金龍堂まるぶん店」さんは被災から7ヶ月後の11月、見事に再開を果たしました。
また熊本を訪れる機会をつくって、ぜひとも「まるぶん店」さんに立ち寄らなければ、と思っております。

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子どもと一緒に本を楽しむ秘訣を親しみやすく伝える、読書教育指南書&ブックガイド『子どもを本好きにする10の秘訣』

2017年10月20日


またまたご無沙汰しておりました。スタッフ押川であります。

「もう小学生になったんだから、絵本は卒業ね」「読み終わったの?じゃあ、どんな話で、どう思ったのかを説明してみて」「途中でやめるの?一度読み始めたんだから、最後まで読みなさい」「またそれ読んでるの?いい加減、ほかのを読んだら」・・・
本好きな子どもになって欲しいがために、ついつい口にしてしまう上のようなことば。実はこれらのなにげないひと言こそ、子どもをかえって本嫌いにさせてしまう「NGワード」なのだということを指摘するのが、今回ご紹介する『子どもを本好きにする10の秘訣』(高濱正伸・平沼純著、実務教育出版、本体1400円)です。

本書は、本好きな子どもに育ってもらうために必要な考え方や役立ちそうなノウハウを、親しみやすい語り口で伝えてくれます。子どもがいない・・・どころか結婚する見込みすらない(苦笑)わたしですが、読んでいて大いに共感したり、参考になるところの多い一冊でした。

冒頭に挙げたようなことばが、子どもを本嫌いにさせてしまう原因について、著者は「本というものをあまりにも短絡的に、何らかの学習の手段=『教具』として考えすぎてしまっているからだ」と指摘します。
そして、重い障がいを持って生まれながらも、たくさんの絵本を両親から与えられ、それらを楽しんだことで高い言語能力を伸ばすことができたニュージーランドの少女、クシュラの例を引きながら「あくまで『楽しさ』を根底に据えてこそ、結果的に学びとなるものが多くなる」と説き、読書を何かの「手段」ではなく、それ自体を「目的」として、子どもと一緒になってひたすら楽しむことに徹することを提案します。この姿勢に、まず強く共感いたしました。

子どものための本選びについても、実に有益なアドバイスを与えてくれます。
たとえば「おやつの本」と「ご飯の本」の話。「おやつの本」とは、「見た感じはなんとも人目を引くような作り」で「中身はたしかにさまざまな事件や出来事が起きて勢いよく読める」けれども「一生ものの栄養になるようなものは得られない」本のこと。それに対して「ご飯の本」は、「子どものためにとことん考え抜かれた作りになっていて、物語世界にどっぷりと浸ることができ、一生の栄養になるような骨太な力を得られる本」であると定義します。
その上で、「ときには『おやつの本』があってもいいと思います。しかし、大切なのはバランス」だとして、時代を越えて読みつがれてきた、歯ごたえのあるロングセラーである「ご飯の本」の楽しさを子どもたちに知ってもらいたい、と熱っぽく語ります。

また、大人目線での「泣ける話」を子どもに押しつけないで、という主張にも共感いたしました。大人の側が「子どもに大切なことを教えるために本を読ませよう」と意気ごむことで、本を読むことが途端に「道徳的義務」と化してしまい、その結果子どもは本からますます遠ざかっていく、と著者はいい、「子どもたちに必要なのは『感傷』ではなくて『感受性』」だと力説します。

最後の章では、読書によって身につく「9つの力」について詳しく述べられています。インターネット検索では得られない時空を越えた「知恵」や、見えないものをイメージする「想像力」、自分とは違う多様な価値観への気づき・・・。とりわけ、「一冊の本をとおして、直接的にも間接的にもさまざまな『つながり』が生まれる」という話には、しみじみと希望が湧いてくるのを感じました。
そういった、読書によって得られるものの大切さを説く一方で、著者はあえて「本とは決して『読まなければならない』ものではない」とも主張します。「『読書のための読書』になるのは避けるべきであり、『いい本を読む』よりも『いい人間になる』ことのほうがはるかに大切なのは、言うまでもありません」と、読書が必ずしも万能ではないということを述べるところにも、著者の読書に対する確かな哲学が感じられました。

そして本書の目玉ともいえそうなのが、著者が「自信をもっておすすめできる」という291冊の絵本、児童書を8つの分野に分け(一部を除いて)表紙の写真や簡単な概要とともに紹介したブックリストです。
日本と世界の昔話や神話、『ピーターラビットのおはなし』『はてしない物語』『あしながおじさん』『西の魔女が死んだ』といったド定番作品から、知る人ぞ知る名著まで。いずれの作品も、子どもはもちろん大人も楽しめそうなラインナップとなっていて、本選びの参考になりそうです。

読書教育の指針としてだけでなく、本と読書に対するしっかりした考え方に裏打ちされた読書論やブックガイドとしても読むことができる本書。子どものいる親御さんはもちろん、子どものいない方にもオススメしておきたい一冊であります。

余談ながら、本書の存在をわたしに教えてくれたのは、当店の同僚女子であります。本書を教えてくれたことに感謝するとともに、このような良書の存在を見出したことに深く敬意を覚えるのであります。

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